今や、最新の棋譜をインターネットで検索し、将棋ソフトでさまざまな新手を研究することができる。そんな中で、将棋ソフトの人工知能が出す「評価値」が、強さの基準と見なされるようになってきた。

将棋ソフトは、人間の常識や経験に束縛されない。ありえないように思えたり、筋が悪いように印象づけられる手も、将棋ソフトはしなやかに「発見」してしまう。

結果として、将棋ソフトが将棋のイノベーションを推進し、指し手を進化させるエンジンとなってきた。将棋ソフトの人工知能の積極的活用で、棋士の脳もまた進化している。

人工知能がコーチとなりトレーナーとなっているからこそ、藤井七段も、あそこまで強くなっているのだ。

まさに、人工知能ネーティブの流儀がそこにある。

これからの時代、人工知能は、人間の学習を高速化し、深化させるための「脳ジム」の役割を果たすと予想される。従来では考えられないくらいの大量のデータを用いて、厳しい負荷をかけ、その中での学習を楽しむことで、驚異的な学びを実現する人が台頭してくるだろう。

そんな中で、人工知能を活かせる人と活かせない人の間で、圧倒的な実力差が生まれることが予想される。人工知能で鍛えられた人の中から、新しい時代のスターが生まれてくるだろう。

人工知能ネーティブたちは、ひょっとしたら、今までの常識を突き破るような活躍を見せるかもしれない。人工知能の前に、人間がシンギュラリティを迎えるかもしれない。

人工知能を自分の脳の進化にどう活かせるか、誰もが考え、生活の中で応用してみるべき時代が来ているのだ。

(写真=AFLO)
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