「アイコンタクトは、人間のノンバーバル(非言語)なコミュニケーションで最も重要なものです。目には感情の変化や心の動きがよく表れます。だから、やましい気持ちがあると、相手と目を合わせられなくなる。男性や子どもは、ウソをつくときに相手から視線をそらしがちです。ただし女性は、成長するなかで悟られない方法を学習するのか、逆に相手の目をぐっと見つめながらウソをつきます」

男性も女性も、ウソをつくと心が動揺するのは同じだ。どのシグナルも心の動揺を隠すのが共通点だが、視線については女性のほうがより高度なテクニックを身につけているようだ。

ただし、この7つのシグナルは万能ではないと齊藤氏は語る。

「シグナルがきれいに出るのは、心の動揺が隠せないほど、ウソに慣れていない人たち。ウソをつき慣れた人は、心の動揺が表に出ませんし、逆に見破る方法の裏をかいてきます。細部が気になってコミュニケーションが進まないほうが問題です」

一つひとつのシグナルにこだわるのではなく、「なんか怪しい」「どこか胡散臭い」といった全体的な違和感を見過ごさないように注意したい。「ウソをつかない人間はいない」という前提に立ち、膨大な情報から真実を見きわめていく力を日々の対人関係の中で身につけていくことが重要だ。

齊藤 勇(さいとう・いさむ)
立正大学名誉教授
早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。日本ビジネス心理学会会長。対人感情、自己呈示を研究。著書に『「スゴい!ひと言」大全』(かんき出版)。
 
(撮影=研壁秀俊 写真=iStock.com)
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