海運業界は昨年半ばまで約5年続きの好況に沸いていた。そのなかで最大手の商船三井は、ブラジルから中国への鉄鉱石輸送など、日本発着にこだわらない、資源国と新興国を直接結ぶ「第三国間輸送」に主力を置き、芦田昭充社長のもと収益と規模の拡大を実現し続けてきた。
――現在の経済状況は御社の業績や経営にどのような影響を与えていますか?
昨秋以降の世界経済の急速な悪化によって、海上の荷動きは鈍っています。原油の需要は低下し、鉄鉱石も、ある時期パタッと動きが止まりました。
海運のマーケットが本格的に回復するには2年程度は必要だと覚悟しています。船隊の整備も、現在900隻弱である運航規模を2009年度末までに1000隻に増やす計画でしたが、950隻強に抑える予定です。
――厳しい環境が当分続くなかで、必要とされるのはどんな人材ですか?
ピンチをチャンスに変えられる人材ですね。具体的には、マイナスの要因が溢れているように見える状況のなかから、知恵を絞ってポジティブな要因を見つけ出し、それを具体的な行動に積極的に結び付けられる人材。ひとことで表現すれば、王陽明の「知行合一」になります。知に裏付けられたファイティング・スピリットを持っている人間です。