自ら「前例」となる仕事をつくり出せ
――社員を評価する際には、どのような点を重視しておられますか。
私が社員の素質や能力のなかで重視するのは、第1に能力よりも努力です。能力を高めるよりも、非凡な努力をし続ける人間になってほしい。これは社長の私から一般社員まで共通です。
私は、成果は「能力×努力+外的要因」だとよく言っています。たとえば、「読む」「書く」「話す」という3つの能力がそれぞれ「2」ずつあったとして、それぞれに「1」の努力しかしなければ、3×2×1=6の成果しか出ません。しかしそれぞれで2の努力をしたら、外的要因がないと仮定したら、3×2×2=12倍の成果になるわけです。
第2に重視するのは、自ら「前例」となる仕事をつくり出しているかどうかということ。今ある方法を真似するだけの、前例踏襲型の仕事をするだけで満足していてはいけません。私が第1に重視すると述べた「努力」は、人より長時間働くといった時間軸での話ではなく、頭を働かせて、工夫し努力し続けることの継続性です。そのような努力をしていれば、おのずと自ら前例をつくり出すことができるでしょう。
私のかつての経験で言えば、飲食店さんの課題解決のためのご提案を、自分なりに粘り強くし続けて、結果、当社の商品に全部、お酒の銘柄を変えてもらったことがありました。取引条件は従前と何も変えませんでしたが、とにかく課題解決型営業に徹していった結果だったのです。
第3が“見逃し三振”はしてはいけない。一歩でも歩を進めて、とにかく挑戦し、実践していかないと、傍観していても絶対に成果は出ません。十分に考えたうえでバットを振り、その結果三振したとしても、その責任は問わないということです。