主役はスマホとPC、紙の手帳は使わない

経営者にとって大切なのは、意思決定のスピード化と最適化です。この2つは別ものではありません。意思決定が迅速なら、たとえそれが間違っていてもすぐに次の策が打てます。つまり、意思決定が速ければ速いほど、最適な解に早く到達することができるのです。1カ月に10の意思決定をするトップと、100のトップとではどちらが1年後に正しい経営判断ができているかといったら、それは間違いなく後者だと私は思います。

ノートパソコンとタブレット型PC、スマートフォン、携帯電話を場面に合わせてフル活用している。通常のメール処理はスマートフォンで。

社内の「報・連・相」も同様です。相談にはフェイス・トゥー・フェイスでじっくり時間をかけますが、報告と連絡に関しては、やりとりの回数を増やしたほうが中身の質は確実に高まるので、やはりスピード重視を心がけています。たとえば経営会議にかける前の資料のチェックなどは、社内イントラネットの共有フォルダにデータをアップし、メールで簡単に「ご確認お願いします」とだけ知らせてもらうようにしています。あとは私が勝手に資料を確認し、修正ポイントを指示していきます。いちいちメールに資料を添付し、そのつどメールの文面を練ってやり取りするよりも格段にスピードが上がりました。

こういうときが典型ですが、社内メールでは虚礼廃止を徹底しています。資料のアップを知らせるメールに、部下が「社長、お忙しいなか大変申し訳ございません」などと付け加えることはありません。

私からのメールも簡潔を旨とします。「結論を明確にする」「理由を3つ挙げる」というのが私のルールです。理由を「3」としたのは、4つ以上書くとかえって伝わりにくくなるからです。また「3つにまとめる」と決めておけば、何を優先するか、どういう表現をとるかを常に考えていなければなりません。その過程で私自身の頭のなかも整理されていくのです。

こうした日常のメールのやりとりはスマートフォン、普段思いついたことを記録するのは携帯電話(ガラケー)のメモ機能、家でメールや資料を見るときはタブレット型PC(iPad)、会議に持ち込むのはノートパソコンと、書くための道具は自然に使い分けています。紙の資料に書き込むためにボールペンやマーカーも持ち歩いてはいますが、手書きの手帳は使いません。