今の時代は、スマートフォンを使って録音などが容易にできます。いっときの不機嫌は、SNSで言及されるだけでなく、動かぬ証拠として音声とともに見ず知らずの人に共有されることもあります。

感情が波立った怒りの状態や機嫌が悪い状態で吐き捨てた言葉は、あなたの社会的立場を奪いかねないのです。

日本人は職場の良好な人間関係を重視する

お互いにサービスを求め合い、傷つきやすさをケアしあう現代日本の風潮は、すでに日本の個々の仕事場にも浸透しています。

リクルートが2012年にアメリカとアジア8カ国(日本、中国、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム)、各国600人を対象に行った調査があります。「仕事をする上で大切だと思うもの」という問いに対して、日本を除く国では「高い賃金、充実した福利厚生」がトップになりました。それに対して日本でだけトップの回答になっていた項目がありました。

それが、「職場の良好な人間関係」です。

では、職場の人間関係が良好でない、息苦しい職場というのはどういったところでしょうか。当てはまる職場は、大きく2種類に分かれます。

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一つは、労働のシステム自体のせいでギスギスしている職場。要求される仕事量は多いのに人員は少なくてつねに残業を強いられるとか、毎月のノルマが厳しくてつねにお互いが競争しあっているとかいった性質の職場です。労働時間が長かったり締め切りが厳しかったりする環境では息苦しいのは当然で、離職率も高くなります。もっとも、これは個人個人の心がけではなく、システムを改善してどうにかすべき息苦しさです。

もう一つが、慢性的な不機嫌によって支配されている職場です。上司や社内メンバーの一人があまりにも慢性的不機嫌なので、なんだか空気が悪い。私が問題にしているのはこちらのほうです。