大学の資金稼ぎのために体育会の指導が過激化

最後に朝日社説は「『もう大人なのだから自分で善悪を判断すべきだった』と選手に苦言を呈する声もある。だが学生にとって指導者の存在は極めて大きく、だからこそ、その責任は重い。これからの学生スポーツのあり方を考えるうえでも、背景までしっかり掘りさげた調査を求める」と主張する。

大学の体育会は、監督やコーチに対する服従の精神を厳しく要求することが多いようだ。それは試合に勝って大学の名を上げ、入学者を増やして経営を充実させたいからだろう。

しかし体育会といえども教育の一環であるはずだ。体育会は大学のためにあるのではなく、学生のために存在する。それがいつの間にか大学の存続のため、大学の資金稼ぎの目的で体育会が存在するようになってしまった。だから日大アメフト部のような不祥事が起きるのである。

少子高齢化社会が進み、大学の入学者が減るなか、大学教育のあり方そのものが問われている。体育会もこれまでのやり方を反省し、新しく変わっていく必要がある。

80億円を超す「税金」が日大に投じられている

「醜悪な事態である。日本最大規模の有力大学が、教育サービスの受け手、つまり顧客で将来ある若者に、組織防衛のため責任転嫁しているようにみえるからだ」

こう日大側の対応を批判するのは、日本経済新聞の社説(5月24日付)だ。

日経社説はその終盤で「内田前監督が大学経営の中枢である常務理事の要職にあることと無関係であるまい。日大は年80億円を超す私学助成を受けている。理事の不祥事や法令違反が確認された場合、補助金が不交付、または減額される」と指摘し、次のように訴える。

「これを回避するため、前監督の反則行為への指示などを否定しているのだとすれば、理事会の責任は重大だ。文部科学省は、適切な指導をする必要がある」

やはり大学経営の問題が横たわっている。日経らしい指摘だ。それにしても「年80億円」とは大した額である。この私学助成はすべてが私たち国民の税金なのだ。

こう考えていくと、「日大だけの問題だ」などと対岸の火事にはできないのである。