選手と指導者の見解が真っ向から対立する異常事態

読売社説は「危険なタックルをした宮川泰介選手は前日の記者会見で、前監督とコーチの指示があったことを認めている。大学アメフト界の名門で、信頼関係で結ばれるべき選手と指導者の見解が真っ向から対立しているのは、残念な事態だ」と指摘する。

さらに「今月になって、宮川選手は、日本代表を辞退するよう内田前監督から言い渡されたという。実戦練習からも外されていた」と書き、「20歳の若者が精神的に追い詰められたのは、想像に難くない。コーチから、『潰せ』と言われれば、『けがをさせろ』と捉えるのも、無理はない。関学大との試合当日には、『ここでやらなければ、後がない』とまで思った」と日大側を批判し、選手に軍配を上げる。

事態を甘く見て不誠実、非常識な対応をくり返す

朝日新聞の社説(5月25日付)も日大の責任を追及する。  

「最大の責任は、事態を甘く見て不誠実、非常識な対応をくり返してきた日大にある」

「1日遅れて会見した前監督とコーチは、けがをさせることを目的とした指示はしておらず、誤解した選手に問題があるとの説明に終始した」

こう指摘したうえで朝日社説は「(日大選手と日大の)二つの会見を通じてはっきりしたこともある。日大アメフト部がとってきた、いかにも時代遅れで閉鎖的な指導法だ」と書く。

「選手と監督が話をすることはめったになく、指示はコーチが伝える。問題の選手は突然、日本代表チームへの参加を辞退するよう命じられたが、理由は説明されない。選手の発奮を促すためと称して、練習に参加することも許さず、追い込む」

「こうした一方通行の手法がまかり通っているとは驚きだ」

年齢がばれてしまうが、まるで子供のころに週刊少年マガジンで夢中になって読んだ『巨人の星』のような世界だ。いまだにそうした指導が行われているとは信じられない。