プロが重視するのは、預金残高の管理

家計改善をめざすご家庭にとって、家計簿は上手に使えば有効な道具だと思います。最近はスマートフォンの家計簿アプリもさまざまなものが出ていて、「使ってみようかな」とご検討中のお宅も多いのではないでしょうか。

写真=iStock.com/beer5020

とはいえ、「金持ち家族」をめざす、つまり資産を築いていくことを目的とするなら、日々の細かい支出を家計簿に記録すること自体には、それほど意味はありません。家計簿をつけなくとも、預金通帳を熟読すれば、家賃、住宅ローンや自動車ローン、光熱費や子供の塾代など、毎月引き落とされる主要な固定費は簡単に把握できます。クレジットカード派の人なら、過去のカード明細を何枚か見れば、自分が何にお金を使っているかは、家計簿をつけなくてもわかります。

むしろ資産を築くという観点に立てば、大事なのは「いま貯まっているお金はいくらあるのか」、そして「預金残高は月々増えているのか、それとも減っているのか」という「残高の管理」です。

実はファイナンシャルプランナーを含むお金の専門家には、家計簿をつけていない人が少なくありません。そんな場合でも、通帳の残高は必ずチェックしています。そして、残高が減っている、あるいはもう少し増えるペースを速めたい、と感じたときに、はじめて支出の内訳に目を向け、削れる支出を探すわけです(とりわけ、固定費の圧縮は効果が大きいので、優先順位が高くなります)。

この「残高管理」という部分で、家計簿アプリは紙の家計簿にはない威力を発揮します。家計簿アプリといえば、レシートの自動読み取りなど「毎日の現金支出の入力を楽にしてくれるもの」というイメージが強いと思いますが、最近のアプリの中には、銀行口座や証券口座などと連携させれば、残高や引き落とし状況、クレジットカードの利用状況のデータを自動的に取ってきてくれるものがあります。プロも重視する残高の管理に、この機能を使わない手はありません。

その観点からお薦めの家計簿アプリを挙げるとすれば、「マネーフォワード」「マネーツリー」「ザイム」の3つになると思います。いずれも残高管理に必要な口座連携機能を備えており、スマホだけでなくパソコンからも操作できます。そのうえで、力を入れている機能や操作感にそれぞれ特色があり、自分のニーズに合わせた選択が可能です。

資産の管理・運用機能が突出して充実しているのは、マネーフォワードだと思います。対応する金融機関の数が最も多く、マンション売買仲介サービスのデータベースともつながっていて、手持ちのマンションの資産評価も行ってくれます。

パソコンでログインして操作するときは、無料サービスの範囲でもかなり高度な分析が可能ですし、有料のプレミアム会員になれば、毎月の収支のバランスや内訳をまとめたマンスリーレポートや家計診断が利用できます。細かな分析が大好き、資産運用も大好き、という方には特にお薦めです。