セクハラ問題で財務省の福田淳一事務次官(58)が辞任した。その認識の甘さには驚きを禁じ得ない。民間企業の実態はより厳しいからだ。特にメガバンクや外資系企業では「女性部下と1対1で飲む」という時点でアウトだという。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が各社の状況をリポートする――。

メガバンクや外資系は「女性部下と1対1で飲む」でアウト

テレビ朝日の女性記者に対するセクハラ問題で財務省の福田淳一事務次官(58)が辞任した。官庁のセクハラ体質の根深さに今さらながら驚きを禁じ得ない。

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民間企業では、男女雇用機会均等法の定めるセクハラ指針に基づいて管理職に対しセクハラ防止研修が定期的に開催されている。

もちろん、公務員も同じだ。

人事院規則によると「各省各庁の長は、セクシュアル・ハラスメントの防止等を図るため、職員に対し、必要な研修等を実施しなければならない」と定めている。

今回は、研修を指示する長たる事務次官がセクハラ行為に及んだとされる。そう考えると、その下の管理職にまでセクハラ防止が徹底されていたとはとても思えない。ましてや、局長や次官クラスは民間企業でいえば役員に相当するような重職である。民間企業ではセクハラ疑惑でも命取りになるのが普通だ。

▼「役員は1回でも解任されます」

IT企業の人事部長はこう語る。

「セクハラのレベルにもよりますが、まずアウトでしょう。本人がそうと意識しないでセクハラまがいの発言をした場合、一般社員の場合は1回ぐらいは大目に見ても、スリーストライク、3回もやったら完全にアウト。懲戒処分は免れません。特に役員には厳しく、1回で解任されることもあり得ます。役員がセクハラ問題を起こせば、対外的に会社の信用を失墜させるだけでなく、株主から経営者の任命責任も問われますから」

もちろん役員昇進を検討する際にも、「セクハラがあったかどうか」は重要なチェック項目だ。とりわけ外資系企業は厳しいようだ。外資系医療機器メーカーの人事担当役員はこう指摘する。

「役員候補者は必ず“身体検査”をしています。過去の懲戒歴をさかのぼってチェックし、過去にセクハラ問題など女性に関する不祥事を起こしていれば候補者から外します。男女関係のウワサは社内調査の対象ですし、そこで疑惑がのぼればやはり候補者から外します」