ヤマト運輸、27年ぶり値上げの「余波」
2017年10月、ヤマト運輸は個人向けの運賃を平均15%値上げ。全面的な運賃改定は消費増税時を除くと27年ぶりだ。荷物量の増加で現場に大きな負荷がかかり、労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けたため、値上げを通じて荷物の総量を抑制しようとしている。
なぜこんな事態になったかと言えば、ヤマトがまっとうに経営してこなかったから、という一言に尽きる。
ネット通販の普及による荷物量の増加はとどまるところを知らず、何の手も打たなければこうなることは自明の理だった。
実際、競合の佐川急便は大口顧客と毎年交渉して、価格調整をしてきた。ヤマトは規模を追い求めた結果、利益率は低下傾向。人手不足などで配送コストも上がり、荷物が増えれば増えるほど儲けが減るという状況に陥っていた。
ヤマトが値上げをしたことで、佐川や日本郵便も値上げ交渉がしやすい状況になった。17年10~12月期は3社ともに利益が拡大基調にあり、業界全体としては健全な方向に向かっていると言えるだろう。