3つ目は「サプライズがある」という人

社長が“抜擢したい”と思う人の3条件、3つ目は「サプライズがある」という人だ。経営トップにとって、ただ使いやすい人が抜擢されるのかと思いきや、必ずしもそうではない。面白みのある人、意外性のある人を、経営者は意外に好んで求めていると感じる。

例えば、DeNAで会長室に配属され、南場智子会長と仕事をしていた中井雄一郎さんは、営業からいきなり会長室への異動辞令がやってきた。さぞ緊張したのかと思いきや……。

「全然ないですね。僕はあんまり人にビビるとかないんです。誰だからどう、ということはないです。もう淡々と。これは成長の機会にはなりそうだ、と思いました。ある意味、唯一求めたのは、そこでしたね」

しかもこのマイペースを貫き通すのだ。

「外に行くときには、一応ついていくようにはしていますけど、『ついてくる回数が少ない』と言われています。これは別に行かなくてもいいかな、と思えるものは行かないんです。そうすると、『どうして来ないのか』と。そのくらい1人でやってください、と返していますけど(笑)」

必要のない随行に行くくらいなら、やるべき仕事をしていたほうがいい、というのが中井さんのスタンス。なんと直々の火鍋のお誘いを断ってしまったこともあるとか。

社長にもズバズバ言う

ストライプインターナショナルのグローバル戦略ブランド「koe」の事業部部長に抜擢された篠永奈緒美さんも、サプライズな話をしていた。もともとズバズバとモノを言うタイプ。入社時点から、言えるキャラを形作ってきたという。

「入社のときから、宇宙人とか外国人みたいなイメージがあったようなんです。なので、ああ、じゃあ、もうそれでいこう、と思って(笑)」

ミーティングでも思い切った行動に出る。

「今日決めたいことをまず言います。時間がもったいないですから、石川が席に座らないうちに『今日のアジェンダは……』と話始めることも少なくないです。それから。ひとつ目の話が始まって長くなったりすると、もう切っちゃいます(笑)」

経営トップには時間がない。次のアポイントのためにミーティングが打ち切られてしまうこともある。時には、駐車場までついていったり、東京駅まで一緒に行ってしまったりしたこともあるとか。