リーダーの一番の仕事は「決断すること」
そもそも、完璧な人間などいないのですから、最初から100点満点の戦略などあるわけがありません。そのことを頭に入れておくだけで、決断のスピードが上がります。
社長になってから20年以上が経ちますが、リーダーの一番の仕事は何かと問われたら、「決断すること」だと即答します。それだけ、リーダーの決断とは重要なものです。とくに、変化の激しいパラダイムシフトの時代といわれる今、勝負を決めるのはリーダーのタイミングのいい決断だといってもいいと思います。
それではベストタイミングを見極めるポイントはどこかといわれると、正直難しいものがあります。結果論では語れますが、ベストだったかどうかはわかりません。ただし、1つだけ確かなことは、決断の遅れは許されないということです。
どれほど素晴らしい戦略であっても、決断するまでに時間がかかっていては実行段階で手遅れになります。
私が常に心がけてきたことは、ある程度方向性が決まったら実行に移すことでした。そして、現場を注視し、変化の予兆を感じたら、いち早く戦略を変更する。これが、本当の戦略です。
「一流の戦略と二流の実行力」と「二流の戦略と一流の実行力」があるとしたら、私は後者を選びます。一流の実行力から生まれる戦略こそ、変化の激しい時代を生き抜くための本物の戦略だからです。
どれだけ精度の高い情報を集め、分析し、100%の確信を持って実行したとしても、必ずしも成功するとは限りません。先行きが読みにくい時代である以上、「やってみなければわからない」という要素はどこかにあるものです。それを理由に決断を遅らせては、自ら敵前逃亡するようなもの。コンペティター(競争相手)に負けても、言い訳にもなりません。