子供にすべきは「頑張れ」と発破をかけることではない
子供に合う塾を選ぶことができたら、親には「子供が塾で頑張れるように応援するサポーターになってほしい」と吉本さん。それは単に「頑張れ」と発破をかけることではなく、自宅を子供がエネルギーをチャージできる場所にするということだ。
「生活リズムを整えたり、栄養いっぱいの食事をつくってあげたり、子供の話を聞いて、一緒に喜んだり、悲しんだり。勉強はある程度、塾に任せて、親にしかできない役割で子供を支えてあげてください」
勉強で戦える心と体をつくってあげる気概が、親には必要なのだ。
さらに、このようなサポートをしていても、成績があまり伸びない場合には「そもそも塾を活かすための土台が育っていない可能性も考慮したほうがいい」とアドバイスする。
▼塾で伸びる子の親が必ずしていること
その土台の力とは、まず「読み取る力」だという。
「読み取る力とは、すべての教科に通じる国語力であり、語彙(ごい)力です。ただ言葉を知っているという意味ではなく、『海』という言葉を読んだ時に、潮風のべたつく感触や塩辛い水の味が浮かぶのか。『わびしい』という言葉を読んだ時、自身の体験を通じてありありとした感情を思い浮かべることができるのか。こうした豊かな経験に基づいた語彙力がないと、いくら解き方を習ったところで本質的な意味を理解できません。本の読み聞かせやさまざまな体験に連れ出す、といったことが有効です」
そして、もう一つは「学習スタイル」だ。
「自ら興味を持ったことを調べて、実際にやってみる(挑戦してみる)。失敗しても、そこから学び、再びやってみる。そうして何かができるようになっていく。このような生き方ともいえる学習スタイルを獲得することが大切です。そのためには、親は子供が興味を持ったことを応援して、調べてあげたり、失敗しても励ましたりして、そこから学ぶ術を教えてないといけません。これができていれば、たとえ受験で失敗しても、自らを成長させる力となります。どんな体験もプラスにすることこそ、親の力の見せ所。これは塾では教えられないことなのです」
おいしい食事を与え、会話を楽しみ、子供の興味を持ったことを一緒にやってみる。塾通いが始まってからも、親がこうしたことを心がけることが、受験という戦いを生き抜く糧となるのだろう。