中小企業が大企業に打ち勝つには、どうすればいいのでしょうか。中小企業の経営コンサルティングなどを手がける武蔵野の小山昇社長は「質の高さではなく、回数で勝負するしかない。質が低いと思っても、ひとつのことを繰り返し教えることが大切」といいます――。

※本稿は小山昇『絶対会社を潰さない社長の口ぐせ』(KADOKAWA)の第1章「絶対会社を潰さない社長になるための10の口ぐせ」の一部を再編集したものです。

「早くテキトーに」決められない社長はダメ

私は、「石橋を叩いて渡る慎重な人」よりも、「見切り発車で、とりあえず始めてしまう人」のほうが、社長にふさわしいと思っています。なぜなら、会社の将来は「やり方」で決まるのではなく、「決定のスピード」で決まるからです。

かつて武蔵野は、とあるセミナーのセールスで大きな赤字を計上したことがありました。7000万円の広告費を使ったにもかかわらず、新規のお客様は「たったの2社」しか増えなかったのです。そこで私は、「売上を上げる」と決定しました。

小山昇『絶対会社を潰さない社長の口ぐせ』(KADOKAWA)

「どうすれば利益が出るのか」を検証したり、正しいやり方を考えたりすることは後回し。それより先に「売上を上げる」と決定しました。その結果、お客様を増やすことができ毎年増収増益を続けています。

ところが、ほとんどの社長は、決定ができない。あるいはしない。なぜなら、「正しい決定をしよう」とするからです。

決定を正しくしようとすると、どうしても時間がかかります。経営のスピードが失われてしまえば、マーケット(お客様とライバル)の変化についていくことができません。

また、正しい決定を下しても、その決定は「社長(会社)にとって正しいだけ」であって、お客様にとって正しい決定とは限りません。

そもそも「正しさ」はお客様が決めるものです。社長が正しいと信じても、お客様に受け入れられなければ、その決定は「間違い」です。

だから、「とりあえず計画をつくって、マーケットの反応を見る」ことが先決です。

社長の決定は、スピードが命

私は、「正しく決定すること」よりも、テキトーでもいいから「早く決定すること」に重きを置きます。

見切り発車で実行して、お客様に受け入れられたら続行。受け入れられなかったら、ただちに修正して、新たな決定をすればよい。新たな決定が受け入れられなければ、再び修正し、みたび新たな決定をする。大切なのは、正しさよりも、「早さ」です。

テキトーでもいいからとりあえず決定して、途中で間違いに気がついたら、そのときに修正すればいいだけ。実行するのが早いほど、間違いに気づくのも早くなり、修正も早くできるのです。

悩んでも悩まなくても、結果は変わらないことが多い。決定の正しさは、悩んだ時間とは無関係です。だとすれば、早く決定したほうがいい。

正しさにこだわり、決定が遅くなっているのがダメな社長に見られる傾向です。