相手の態度は、ちょっとしたテクニックひとつで変わる。シンプルなのに効果満点な「心変わりの方程式」を6つの場面別に識者へアドバイスを求めた。第2回は「自分勝手な人と仕事」について。元宮崎県知事、元衆議院議員の東国原英夫氏に聞いた――。
対「県庁職員」「建設業者」こう切り抜けた
知事になって思い知ったのは、公務員はとても真面目で優秀だということ。「たけし軍団」とはまったく違う世界でした。
僕は2006年に前職知事が官製談合、「政治とカネの問題」で辞職した選挙で選ばれた身。改革が強く求められる「どげんかせんといかん」状況でした。
最初は、公務員の人たちがあまりに「前例」に従って動くので面食らいました。「知事は黒塗りのプレジデントで入庁」「知事室のドアの開け閉めは秘書課が担当」。彼らは前例を踏襲することに重きを置いて、固定観念で働いていた。あるとき、昼食にマクドナルドのハンバーガーを買いにいこうとしたら秘書に止められ、紙袋を剥いた冷めたハンバーガーを桐のお盆で出されたこともあります。
改革を進め、人に動いてもらううえで最も必要だったのは、「覚悟を見せる」こと。僕は知事選に出馬すると決めたときから、県と建設業者の談合の温床になっていた持ち回りでの事業請負をやめ、一般競争入札を行うと決めました。すると業者からのクレームが相次ぎ、各所から圧力がかかった。知事に就任してすぐ、県庁近くの河川敷に業者が集まり、反対運動が行われていました。運動は盛り上がって、「知事を出せ!」と声が上がっていた。秘書は、「知事が出ていく局面ではないので、まずは土木部長を」と僕には伝えずに断っていました。それを知って、すぐに「僕が行きます」と現地に秘書課の1人だけを連れていった。そしたら、会場からどっとどよめきが起こりました。そこから周りの雰囲気も変わりましたね。知事は本気だと。
それからも現場レベルの打ち合わせにもできる限り入るようにしました。そして、丁寧に腰を据えて話す。信念を貫く。マンゴーなどの特産品の売り込みも積極的に行いました。