「年末調整で処理されない控除」がある人は意外に多い

「年末調整で処理されない控除」がある人も確定申告をするべきです。

会社員であれば、ほとんどの控除を会社が計算してくれますが、「医療費控除」「寄付金控除」「雑損控除」「住宅ローン控除(1年目に限る)」の4つは例外です。対象となる人は、自分で申告します。

「医療費控除」は、1年間の医療費の自己負担額が10万円を超えた場合、超えた金額が所得控除されるというもの。申告する本人だけでなく、生計を一にする家族や親族が支払った医療費も合算できます。対象となる医療費は、ケガや病気などで入院・通院したときの治療費のほかに、通院のための交通費なども含まれます。

また、医療費控除と併用はできませんが、指定された市販薬を年間1万2000円以上買うと、超えた分を所得控除することができる「セルフメディケーション税制」が2017年から始まっています。対象となる市販薬は「スイッチOTC医薬品」といい、風邪薬や痛み止め、花粉症などのアレルギーを抑える薬など、約1600品目。(※4)

写真=iStock.com/winhorse

薬局やドラッグストアで、よく頭痛薬や痛め止めを買っているかも……という人はレシートで確認をしましょう。1万2000円を超えているかもしれません。医療費控除と同様に、申告する本人と生計を一にする家族や親族の支払いも合算できます。控除の上限額は88000円です。この「セルフメディケーション税制」を利用するには、申告する年に健康診査や予防接種を受けている必要があります(会社の定期健康診断でもOK)。

※4 スイッチOTC医薬品のリストは、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000181062.pdf

▼「ふるさと納税」 5自治体までなら確定申告必要なし

次に「寄付金控除」の仕組みをご説明しましょう。

地方公共団体や公益財団法人など、国が認めている団体に寄付をしたとき、寄付をした金額の一部が所得控除されます。国が認めていない私立学校や特定の個人、任意団体への寄付は控除の対象となりません。

ふるさと納税もこの寄付金控除にあたりますが、納税先が5カ所以内の場合、確定申告をする必要はありません。自治体に申請書をおくるだけで寄付金控除を受けられる「ワンストップ特例制度」が2016年に設けられており、確定申告なしで控除を受けられます。ただし、確定申告をすると、このワンストップ特例は無効になります。その際、ふるさと納税(寄付金控除)を追記し忘れないように注意してください。