「一兵卒に戻りたい」出世望まぬ課長の胸の内

別の調査データを見てみよう。今度の対象者は、現役の課長だ。産業能率大学の「上場企業の課長に関する実態調査」(2018年1月)によると、「(今後さらなる)出世を望んでいない」課長が49.5%と、約半数に上っている。

写真=iStock.com/FangXiaNuo

出世を望んでいない課長は今後どうしたいのかと言えば、「プレーヤーの立場に戻る」「現在のポジション(課長)を維持する」と答えている。

ちなみに同調査によれば、残り半分の「(今後さらなる)出世を望む」課長のうち、「部長クラスのポジションに就きたい」人が36.0%、「役員」が10.2%、「経営者(社長)」が4.3%だった。部長までいけたら御の字ということのようだ。かなり控えめな回答である。

冒頭に紹介した新入社員を対象とした調査では、どれくらいの役職まで出世したいかも聞いている。結果は、課長が4.8%、部長が15.0%、役員が21.4%、社長が8.9%だった(「役職にこだわらない人」が49.9%)。出世したい新人が目標とするのは、「役員」が最も多い。

新入社員はまだ野心を抱いているのだ。現職の課長の半数は出世レースから事実上降りることを宣言し、出生を望む人であってもせいぜい「部長ぐらいになれれば」と考えているのとは対照的である。

▼なぜ、現役課長は出世を拒むのか?

なぜ、現役課長は出世を望まないのか。その理由のひとつが、課長の働き方の実態から浮かび上がってくる。

再び産業能率大の調査を見れば、3年前と比べて「業務量が増加している」と答えた人は58.9%だった。2010年の調査以降、徐々に増えている。

また驚いたのは程度の差はあれ、職場の(課長としての)マネジメント以外にプレーヤーとしての役割が求められるプレイングマネジャーである人が99.2%だったことだ。プレーヤーとしての業務がマネジメント業務に何らかの支障があると答えた人が約6割に上っている。