「飼い主がペットよりも先に亡くなることも多い」
このようにペットはいいことばかりなのですが、飼い主が高齢者である以上、ある日突然、ペットの世話ができなくなるリスクがあることは考えなければなりません。
また家族(実子や嫁など)が同居している場合、別の問題が生じます。
要介護になれば、本人のケアだけでも大変です。それなのに、ペットがいれば負担はさらに大きくなる。本人は自分が愛情を注いだのと同様の世話をしてほしいと思うでしょうが、それができないとなれば感情がぶつかることもあるでしょう。
Yさんによれば、「飼っていた方がペットよりも先に亡くなることも多い」といいます。
▼動物愛護センターは引き取り手が見つからなければ殺処分
家族が引き継いでくれればいいのですが、マンション住まいなどで飼えない時には、公共機関や民間団体に引き取ってもらうことになります。
公共機関ではまず市区町村の保健所が受け入れ、一定期間保護した後は都道府県の動物愛護センターに移されます。ここでは里親募集や譲渡会を行っていますが、引き取り手が見つからなければ殺処分になってしまいます。
最近では動物愛護の精神が社会に浸透し、殺処分は年々減少しています。それでも環境省の統計によれば平成28年度は11万3799頭の犬と猫が引き取られ、その約半数の5万5998頭が殺処分されました。こんなことになっては亡くなった飼い主も悲しいでしょう。
一方、民間団体に引き取ってもらう場合は、殺処分はありませんが、団体の施設までの移動費や医療費などの費用がかかります。ペットといえど尊い命。それを救えるのなら、ある程度の費用は負担して当然だと思うかもしれませんが、家族が応えてくれるかどうかは分りません。