エサを与えず、糞尿処理しなかったら死んでしまう

「日常生活に必要ではない」といわれても、ペットは飼い主にとって家族同然の存在です。エサを与えず、糞尿処理などの世話をせず不衛生のまま放置したら、死んでしまうでしょう。では、飼い主が要介護で動けなくなったらどうすればいいのか。

写真=iStock.com/Kappri

これは、同居する家族がいない場合には、全額自己負担のペットシッターに世話を頼むしかありません。

ところが、このペットシッターの料金がかなり高額なのです。ペットの種類(主に犬か猫か)や地域によっても違いはありますが、1時間3000円程度が目安。愛するペットのためだからと、毎日ペットシッターに世話を頼めば、1カ月で9万円、1日おきにしても4万5000円かかることになります。業者によっては長期割引があるとはいえ、生活を年金に頼っている人の場合、ペットとともに過ごす日々が立ち行かなくなってしまう可能性があるのです。

▼高齢者「この子がいないと生きていけない」

ペットが生きがい、という高齢者は少なくありません。実際、ペットはさまざまな効果をもたらします。動物好きの人なら、ペットと過ごす時間そのものが楽しく、気持ちは明るく前向きになります。「この子は自分がいないと生きていけない」という意識は心の張りになるわけです。

また、ペットがいると生活が規則正しくなります。犬であれば散歩が日課になる。朝、散歩に出て、決まった時間に食事を与え、夕方はまた散歩する。散歩は健康にもいいですし、その途中で顔見知りができれば、会話を交わすのも楽しみになります。

ペットは認知症予防にもなると言われています。当欄では以前、ドッグセラピーを行なう施設を取り上げましたが(「認知症の老親「ドッグセラピー」で復活するか」http://president.jp/articles/-/21225)、人は動物と触れ合うことでストレスが減り、心が和らぐセラピー効果があり、それが認知症の予防や改善につながるというわけです。