「目はむきだしの臓器である」という認識

まず、「目はむきだしの臓器」という認識を持ってください。軽くかくくらいなら支障はない、と思うかもしれませんが、石に水滴が1滴ずつ落ちていると数年で穴が開くのと同じで、“ちょっと触る”の積み重ねが、目の障害を引き起こすことは多い。網膜がはがれているのに気づかないまま半年以上が経っている患者もいます。目はむやみに触らないことです。

緑内障も糖尿病性網膜症も加齢黄斑変性も、目の疾患はすべて発見時期が遅れなければ、なにかしらの手術方法があります。ただ、日本は眼科手術後進国なので、技術や知識の少ない眼科医も多い。医師に手術数や術後の視力についてのデータを開示してもらい、手術後の視力が1.0は出ているかを基準に医師選びをするといいと思います。

▼紫外線カットのサングラスがいい

仕事でパソコンやスマートフォンを見る機会の多い読者のなかには、眼精疲労を軽減させる商品を愛用している人もいるかもしれません。しかし、「目にいい」商品の多くは、根拠がないものばかりです。

「風景の写真を見る」とか、「ピンホールメガネ」とか「3D絵本」などで視力はよくなりません。目を激しく上下左右に強く動かす「眼球運動」や眼球へのマッサージは、硝子体線維が揺れて引っ張られることで、網膜が破け網膜剥離になる危険性があるので、絶対にやめましょう。

ブルーベリーやビルベリーのサプリメントも、アントシアニンに抗酸化作用があるだけで、目への効果は実証されていません。

ドラッグストアでは1000円以上する目薬も販売されていますが、市販の目薬で認められているのは、角膜保護剤とビタミン剤だけですから、いろいろ入っているわりに効きません。

目を保護している主な成分は、目から分泌されているたんぱく質成分の「ムチン」と脂なので、ドライアイ用にはムチンを増やす目薬を。医療機関で扱われていますから、眼科で処方してもらいましょう。目薬は処方、市販にかかわらず、角膜障害性のある防腐剤が少ないものを選び、1回使い捨て以外は、開封したら2カ月で捨てること。皮膚にはブドウ球菌が多いので、つけるときには上から垂らして、先端が皮膚に触れないことも大切です。