経済学の古典、アダム・スミスの『国富論』には「神の見えざる手」という有名な言葉がある。この言葉をどう理解しているだろうか。もし「経済はすべて市場に任せるべきだ」「すべて市場に任せておけば社会は豊かになる」と理解しているとすれば、それは誤解だ。元国税調査官の大村大次郎氏が『国富論』を「超訳」で紹介する――。

※本稿は、大村大次郎『超訳「国富論」――経済学の原点を2時間で理解する』(KADOKAWA)を再編集したものです。

経済学の古典「国富論」とは?

イギリスの倫理学者アダム・スミスが書いた経済学の古典書として知られる「国富論」。経済学を学んだ人だけではなく、中学校・高校で歴史の授業を真面目に受けていた人なら、一度は耳にしたことがあるはずだ。世にいう「経済学」というもの自体がそもそも、ここから始まったとさえいえる“経済古典”だ。