実は自分の暴言を後悔し反省していた父親

ご相談から数カ月後、母親から連絡がありました。長男のひとり暮らしは今のところ順調で、同居の時に比べて、精神状態も落ち着いているとのこと。また、父親と長男の間に物理的に距離ができたため、いつも腹を立てていた父親の気持ちも変わってきたようです。

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長男がひとり暮らしをした後、家族はひとつの発見をしました。それは父親の本当の気持ち。長男が引っ越しをしてしばらくした後、夫婦で話し合あった時に父親が本音をぽつりとこぼしたことがありました。

親亡き後、長男は果たしてひとりで生活できるのか。長女に長男の世話を全部押し付けてしまうことになるのではないか。そうならないように、親として今からできることは少しでもやっておきたい――。

長男や母親への暴言は、そのような焦りの気持ちから出たものだったようです。父親自身も苦しんでいたのです。家族の仲がだんだん悪化していくことにより、当時の長男も母親もそのよう父親の気持ちに気づけませんでした。なんとも悲しいお話ですが、こうしたケースはひきこもりの子がいる家庭ではしばしば見られることです。

▼ひきこもりの子にきつく当たる親の心理

今では父親も反省し、家族で話し合う機会を探しています。時期がきたら家族の将来について相談したいとのことでした。

今回のお話に限らず、親御さんがひきこもりのお子さんに対してきつく当たってしまうことがあります。その背景には、親としてなんとかしなければ、という焦りがあるようです。

変化を恐れていれば、いつまでも本音には気付けません。本音で話し合う機会が作りづらいのであれば、支援者などの「第三者」を交えてみてはどうでしょうか。お互いの本音が見えてくれば、こじれた関係をほぐすことができるかもしれません。