加計学園理事長を証人喚問すべし

森友学園の部分は納得できるが、次の加計学園問題に対する読売の見解には、沙鴎一歩は納得できない。

「野党は、国家戦略特区の選定を巡る首相の関与や不適切な行政手続きの新たな材料を示せなかった。予算委員会などで長時間審議する必要性は乏しいのではないか」と書き、「野党が『疑惑』追及に集中するあまり、北朝鮮の核・ミサイル問題やアベノミクスに関する議論が不十分だったのは物足りない」とまで指摘する。

「新たな材料を示せなかった」ではなく、加計学園の理事長本人が一度も国会で証言しようとしなかったことの方が問題である。

確かに国会議員には国政調査権という特権はある。だが、疑惑の渦中にある人物が、議員の聴取にも応じないようではどうしようもない。

本来なら偽証罪も問える証人喚問を理事長本人に求めるべきだった。そうすれば新事実が明らかになるはずだ。国会の求めがあれば、加計学園の理事は来年の通常国会で証人として喚問に応じるべきである。まずは参考人招致に応じたい。

「党首討論ゼロ」は2000年以来初めて

読売社説の後半は朝日と同じように党首討論が一度も開かれなかった現状を憂えている。

「残念なのは、党首討論が今年、一度も開かれなかったことだ。2000年に制度が導入されて以来初めての事態である」と書いたうえで、「野党は、首相を長時間追及できる予算委員会の質疑を優先しがちだ。10月の衆院選を機に民進党勢力が4分裂し、『自民1強対多弱』の構図が強まった結果、2大政党トップによる論戦という姿が遠のいたことも影響したのだろう」と分析する。

そのうえで「だが、党首が、国家観を含め、大局的な議論を行う貴重な場だ。『月1回開催』『45分間』といった原則を見直し、頻度は少なくても、討論時間を増やして確実に実施するなど、党首討論のあり方を真剣に見直してはどうか」と主張する。

朝日とほとんど同じ主張でその書きぶりも似ている。朝日の論説委員は、4日前に出た読売社説を読んでいたはずだ。書きぶりが多少似通っていたとしても、それは些末なことで問題ない。問題は各紙の主張内容である。