朝日社説が4つの具体的な提案を書いた事情

次に朝日社説は、

(1)首相が本会議や委員会に出る週には開かないとの申し合わせを撤廃する
(2)与野党で合意した党首討論の月1回開催を実行する
(3)野党が多党化した以上、討論時間を引き延ばす
(4)事前にテーマを決めて議論を深める

と党首討論の見直しについて具体的な提案をしている。

社説は限られた行数のなかで論を展開するため、内容は抽象的になりがちだ。朝日社説が具体的な提案をしている点は評価できる。ただ、これは朝日社説が「党首討論ゼロ」という話題を扱うのが、読売社説に4日遅れたからかもしれない。

「政府批判ばかりでは、国会の役割は果たせない」

読売は朝日より4日前の12月10日付の1本目の社説でテーマを「特別国会閉幕」に取って「党首討論の再活性化が必要だ」(見出し)と主張する。

読売社説はこう書き出す。

「『疑惑』と言い募って政府を批判するばかりでは、国会の役割は果たせない。与野党は、建設的な議論に向けて、もっと知恵を絞るべきだ」
「特別国会が閉幕した。野党は、森友・加計学園問題で安倍首相を追及したが、決め手を欠いた」

野党が政府批判をするのは当然である。それを「『疑惑』と言い募って……」などと書くようでは、安倍政権を擁護する体質がにじみ出ている。

まず読売社説は森友学園の問題を取り上げる。

「財務省が、会計検査院の検査報告を受けて、学園側とのやり取りを録音した音声データの内容を認めた」と事実関係を書き、「国有地売却価格の事前交渉は引き続き否定している。『金額のやり取りはあったが、予定価格ではない』などと強弁したが、あまりにお粗末な言い訳である」と財務省を批判する。