最もわかりやすいのは世襲型の「お姫様」タイプでしょう。小渕優子元経産大臣や野田聖子総務大臣がこれに当たります。選挙地盤がしっかりしているために、小渕氏のように少々の不祥事が発覚してもいったん政府の役職を離れて「休む」ことができるという強みがあります。

日刊現代/AFLO=写真

しかし多くの女性議員はお姫様ではありません。ほとんどの女性議員は、与野党のボス政治家に側近として仕える「侍女」タイプだと言って差し支えありません。そのなかにもいくつかの類型があります。

ひとつは鋭い舌鋒と忠誠心を買われ、国会やメディアで敵対勢力を攻撃する役割を担う「咬ませ犬」です。咬ませ犬の典型は、弁護士であり保守派の言論人だった稲田元防衛大臣や、検察官から政界入りした山尾前衆議院議員です。

他方、国会での論戦やメディア露出からは距離を置き、党幹部から目をかけられながら党内で政策立案や利害調整などの党内政治に注力するのが「党内官僚」です。多くは官僚やエコノミスト出身で実務に強い人たちです。

全国的な知名度を活かして参議院の比例区や縁の薄い選挙区に落下傘候補として擁立されるのが「クリーン」型です。知名度は低くとも話題性があり、○○ガールズとして1本釣りされ、刺客になる人たちもいます。古くは山東昭子参議院議員や扇千景元参議院議員、佐藤ゆかり前衆議院議員。山尾前議員も元は小沢ガールズでした。最近では元SPEEDの今井参議院議員がここに入ります。ここから党内官僚や咬ませ犬になる人もいれば、クリーン型に満足して留まる人もいます。

数は少ないものの「実力派」タイプも存在します。アメリカの上院議員や国務長官を歴任し、昨年の大統領選挙ではトランプ候補に惜敗したヒラリー・クリントン氏はまさに実力派です。日本では、このたびの解散総選挙で存在感を発揮している「希望の党」代表の小池百合子東京都知事がこの範疇に入るかもしれません。

ほかにも日本看護協会などの職業団体に推されて議席を得ている「業界の代表」タイプの女性議員もいますが、ここでは詳しくは触れません。