ハイブリッド車は環境対策車として不十分
ヨーロッパ最大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題やパリ協定の発効などで、ガソリン車、内燃機関の行く末を悟った自動車メーカーは少なくない。
すでにボルボ(スウェーデン)はエンジン車から撤退して19年以降に発売する全車種をEVなどに切り替えることを表明している。VWも25年までに80種類以上のモデルでEVないしプラグ・イン・ハイブリッド車(PHV)を揃え、30年までにはグループ全体で300種類以上あるモデルすべてにEVかPHVを設定する計画を発表した。ディーゼル不信を招いたVWにとってEV化は過去と決別して生まれ変わる絶好の機会であり、同じドイツ大手のダイムラーやBMW、他の欧州メーカーもEV強化策を続々と打ち出している。
中国では200以上のEVメーカーが勃興して、開発にしのぎを削っている。そうした中でBYDのような新興メーカーがEV専業のテスラはおろか、旧来の大手メーカーを食う時代がそう遠くない未来にやってくるかもしれない。
EVシフトが進んで世界の自動車業界の勢力図が塗り替わりそうな中、問題は日本勢である。この20年、日本の自動車メーカーはガソリンエンジンと電気モーター、2つの動力で走行できるハイブリッド車でエコカー(環境対応車)の世界をリードしてきた。その分、EV化に腰が入らずに出遅れたともいえる。
しかも環境規制強化の流れの中で、CO2を排出するハイブリッド車は環境対策車として不十分とみなす動きが出てきた。前述の通り、カリフォルニア州のZEV規制でも、18年からハイブリッド車はZEVの対象から外される。19年からスタートする中国のNEV法でもハイブリッド車は「NewEnergy Vehicle」には含まれていない。
もはやハイブリッドに胡坐はかけないということで、トヨタはマツダと組んでピュアEVへの本格参入を決めた。マツダは世界で唯一、ディーゼルでヨーロッパの厳しい環境基準をクリアしている会社だ。しかし内燃機関の塊のようなトヨタとマツダが組んで「EVをつくる」と言われても、私にはいまひとつピンとこない。