手が止まる時は「先送りメモ」を付ける

仕事を前にしてどうしても手が止まってしまう。いつまでもグズグズと手を付けることができない。そうした「先送り」は、なにも私たちが怠惰だから起こるのではありません。

“The Now Habit”の著者のネイル・フィオーレ氏は、先送りは不確定な未来に対する恐怖やストレスに対する対抗手段として、自分たちで生み出す心の防御姿勢であると指摘しています。

それは心の不安が生み出している見えない壁のようなものですから、「安心」を与えてあげることでその力をそぎ落とすことができます。

そうした安心感を作り出す手法の一つに「先送りメモ」があります。これは、先送りをしたくなる衝動を意識したら、そのときに感じている恐れや不安を隠さずに言葉にしてしまうというものです。

実際にメモをつけてみると、恐れの多くは理不尽であることに気づきます。たとえば失敗するのが怖いという不安は、「失敗するつもりで仕事をしている人はいない」「最初から完璧にする必要はない」ということに気づくことで、自分を客観視できるようになります。

あとは、こうしたメモを利用して自分への話し方を変えてみましょう。

●失敗するかもしれないので怖い
→失敗するのは怖いことだが、なるべくそうならないようにこういう手を打ってみよう

●完璧にできないかもしれないので怖い
→まず形にしてみよう。そうすれば方向性が見えるはず

心の壁は、実は自分で自分に対してかけている呪いのようなものなのです。「先送りメモ」でそうした呪いに気づくことができれば、それを解除するヒントも見つかるはずです。

堀 正岳(ほり・まさたけ)
「Lifehacking.jp」管理人。研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。
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