権力者が隠したいことを明るみに出す

そうはいっても安倍政権という権力は強大で、記者一人で闘えるものではないだろう。私は「たとえば、朝日新聞と東京新聞がタッグを組んで、情報交換しながら安倍政権のスキャンダルを追いかけるとか、ニューヨークタイムズがトランプ政権の取材に500万ドルを投資したように、会社全体でやっていかないとつぶされるのではないか」と聞いた。

それに対しての答えはなかったが、彼女はこう締めくくった。

「在任期間が最長になる菅官房長官は、政権を揺るがしかねない閣僚のスキャンダルにも、表情を変えることなく鉄壁のガードを築いてきた。しかし、私とのやりとりで、これまでとは違う別の菅官房長官の顔を導き出すことはできたのではないか」
「その表情を見ていると、さすがに『加計ありきではない』という言い訳は苦しいように思えます。日々の少しずつの積み重ねが、政権を揺り動かすほどのパワーになると信じています」
「私は特別なことはしていません。権力者が隠したいと思っていることを明るみに出すために、情熱をもって取材に当たる、それだけです」

こうした記者が、いま少し出てくれば、ビッグ・ブラザーのように肥大化した権力を監視することができるはずだと思うのだが。

次の予定があると飛び出していった彼女の後ろ姿が、とても大きく見えた。

(撮影=横溝浩孝)
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