Diagnosis:5
迷っているうちに時間が過ぎてしまう

仕事のムダな時間を減らすためには「決断を迷わない」こと。仕事で迷いが生じるのは、お客さんからはこう言われているけどうちの会社としてはそうしたくない、上司はいいと言うけれど自分にはそれがいいと思えないなど、利害関係や意見の相違などが複数あるからです。

その場合はいくら悩んでもよい解決策など浮かびません。迷った場合の判断軸を自分の中に持つ必要があります。私の場合は、「何がクライアントにとって最もいいことか」を判断の軸に置いています。それを最優先事項として考えれば、自分がとるべき行動はすぐ決定できます。

ジョンソン&ジョンソンという外資系の製薬会社では、会社の絶対的なクレド(企業理念)として優先順位を定めています。第一は患者や医師などの顧客で、第二は従業員、第三が地域社会で、最後が株主。この順番を変えてはいけない、と創業者が言っているんですね。

重要とは思えないことで何時間も悩む人もいますが、自分の中に絶対的な軸があれば、判断を下すに必要な時間は大幅に減らせるはずです。自分で自分をマネジメントする。そういった意識で仕事をすることが、残業を減らし、よりよいキャリアを築く第一歩です。(山口氏)

Diagnosis:6
くる仕事を何でも受けてしまう

キャリアは、受けた仕事で決まります。そして、世の中には「スジのいい仕事」と「スジの悪い仕事」の2種類がある。ここで私が言う「スジのいい仕事」の条件は、その仕事が自分を成長させてくれるものであり、かつ評価につながるかどうか、です。ぶっちゃけて言えば、その仕事の発注主が今後その組織や業界で出世し、権力を握らない限り、あなたの評価にはつながらないのです。

今の自分の上司が社内や業界で影響力を持たない人で、かつその指示内容も自分を成長させてくれるものではない「スジの悪い仕事」であれば、断るべきでしょう。断るというのは難しく、勇気の要ることです。しかし、リソースを分散投入しても全部合格点以下しかとれず、結果的にあらゆる仕事で怒られてしまうのでは、残念ですよね。

それができないのであれば、時間と労力をできるだけかけずに済ませるべき、というのが私の意見です。

逆に、「スジのいい仕事」であるならば、ほかの仕事をすべて断って、ときには残業してもいいのではないでしょうか。そこで結果を残すことが、次の「スジのいい仕事」を呼び込むことにつながります。キャリアとは、そうして自分でつくり上げていくものです。(山口氏)