プレジデント誌の好評連載「悩み事の出口」。ライフネット生命保険の創業者・出口治明さんが、読者の悩みにズバリこたえます。今回のお題は「確実に昇進する自己アピール方法はあるか」。出口さんは「理想的な人が上司になるとは限りません」とクギを刺します――。
「課長、部長までは実績、その後は役員の好き嫌い」
──自己アピールしていますが、なかなか昇進できません
「昇進に値する実績を上げているかどうか」というのがまずありますね。あるいは、自己アピールの仕方が上手くないのかもしれません。
大きい組織の場合、昇進は「課長、部長までは実績、その後は役員の好き嫌い」という言葉もあるようです。
──一応、人事考課シートには実績を事細かに書いてはいます。評価者との直接のコミュニケーションが足らないのでしょうか。
人間はあまり賢くないので、頻繁に「ちょっと相談に乗ってください」などと言い寄ってくる人間は、かわいいと思ってしまう傾向があります。「相談回数が評価に比例する」という人がいるのも確かです。
でも、「ゴマスリは嫌いだ」というタイプであれば逆効果です。「そんな暇があれば仕事せんかい。評価下げるぞ」と思う人もいます。
──相手のタイプを見極めることが肝心なんですね。
例えば同じアメリカ大統領でもタイプは違います。トランプ大統領にはゴマスリも効果的かもしれませんが、オバマ前大統領には、実績で示したほうがいいかもしれませんね。
ゴマスリが好きな相手であれば「あなたは偉大です」などと言っておけば、「お! かわいい奴やな」となることが多いかもしれません。