ところで、好循環のメカニズムの出発点となるのは、観客動員の増加→球団収入の増大という連鎖である。この連鎖を生じさせるためには、球場の収入を球団の収入に結びつける必要がある。日本のプロ野球界においては、自社グループで球場を保有している一部の球団を除き、多くの球団が、プロ野球興行を主催しながらも、球場を運営する自治体、第三セクター、他企業等に多額の使用料を支払う状況が続いている。
このままでは、観客動員の増加→球団収入の増大という連鎖が、十分には働かない。これに対して、東北楽天や千葉ロッテなど、「地域密着モデル」を積極的に取り入れる球団は、指定管理者制度を活用するなどして、球場での営業権を取得することに成功している。
「地域密着モデル」を深化させ観客動員増加とチーム力向上とのあいだに好循環のメカニズムを作用させること、そのための出発点として球場の収入を球団の収入に結びつけること……これらが、日本のプロ野球を再生させる王道だと言うことができる。
(平良 徹=図版作成)