P&Gは消臭剤ファブリーズを100億円近く売り上げる一大商品へと育て上げた。その背景には「ブランド・エクイティ拡張戦略」という巧みな展開戦略があったと筆者は説く。

なぜファブリーズは日本ではヒットしないと見られたか

PRESIDENT6月1日号(http://president.jp/articles/-/4101)から続いて、8月3日号、9月14日号(http://president.jp/articles/-/1638)と、ブランド戦略について検討してきた。最初は、日本企業が多用するコーポレートブランド・スタイルには限界があること、そしてメガブランドへの切り替えがこれからの成長のカギとなることを指摘した。8月3日号では、アメリア・エアハート効果を中心に市場カテゴリとブランド価値との強い絆づくりを狙うポジショニング戦略の有効性について検討した。そして、9月14日号では、カテゴリと強固な絆をつくったブランドがさらに成長するためのマネジメントのありようを探った。

さて、今回は、コーポレート・ブランド戦略とポジショニング戦略とのいわば中間にある戦略、ブランド・エクイティの拡張戦略を検討したい。ケースは、P&Gファブリーズである。