パイロットは30%減の1200万
事業会社で戦後最大の破綻――。この2010年の空輸業界最大のトピックは、何といっても日本航空が経営破綻したことだ。
日本航空の09年3月期の売上高は1兆9512億円。対前年度比では2792億円のマイナスである。また、経常損益は822億円の赤字であり、前年度に比べて1520億円ダウンしている。
会社更生手続き中(2010年雑誌掲載当時)の日本航空は、社員の平均年収を公表していないが、会社側が労働組合に提示した新賃金が明らかになっている。
それによると、パイロットの平均年収は、対前年度比30%引き下げの約1200万円、客室乗務員は25%減の約420万円、地上職は20%減の約500万円である。
「パイロットや客室乗務員のタクシー送迎を原則禁止するなど、社内改革を進めている」(日本航空広報部)というが、再建への道のりは厳しそうだ。
日本航空は現在(2010年雑誌掲載当時)、4万7000人いる従業員のうち、3分の1に当たる1万6000人のリストラを計画している。希望退職への応募者は計画数に満たず、3回目の募集を実施。11月9日の閉め切り以降は、整理解雇が検討されている。
厳しい経営状況なのは全日空も同じ。同社の10年3月期の売上高は1兆2283億円で、対前年度比は1642億円のマイナス。また、経常損益は863億円の赤字であり、前年度に比べて864億円減っている。こうした業績を受け、従業員の平均年収も減少。前年比65万円減の786万円となっている。
2009年、好調だった海運だが、2010年はすべての企業が平均年収を減らしている。
その背景には、急激な業績の悪化がある。商船三井の経常利益は前年比マイナス88.2%の242億3400万円、日本郵船に至っては、前年比のマイナス122%で、304億円の経常赤字に陥っている。
業績悪化の最大の要因は、業界全体で1.5兆円の赤字を計上したコンテナ事業が挙げられる。経済危機に伴い、東西基幹航路をはじめとした需要が大幅に悪化したためだ。ただし、10年度の後半では赤字幅の縮小が進んでおり、日本郵船は10年度の経常利益を1150億円と予想し、V字回復を期している。
鉄道と倉庫でもほとんどの企業が従業員の平均収入を減らしている。景気回復の足取りの遅さは、物流の停滞を促し、比較的堅調な鉄道や倉庫にもマイナスの影響を及ぼす形となった。
※すべて雑誌掲載当時