1000万超は2社に減少
1000万円超が旧新日本石油と東燃ゼネラル石油の2社に減少した。水準が高かった大手石油各社の平均給与の低下傾向が続いている。ガソリンを中心とする国内需要の落ち込みによる業績の低迷が最大の要因。各社は生産設備の統廃合に動く一方で、海外市場の開拓や太陽電池など「非石油」事業への取り組みを本格化させているが、業界再編も不可避。石油業界は大きな転機を迎えている。
JXホールディングス(HD)は2010年4月に、新日本と新日鉱HDが経営統合してスタートした企業グループ。11年3月期の予想売上高は9兆円超。日立製作所やパナソニックに並ぶ巨大グループである。
JXHDは経営統合から時間をかけずにグループ内再編に着手。3カ月後の7月には石油製品の製造販売「JX日鉱日石エネルギー」、石油開発「JX日鉱日石開発」、非鉄金属「JX日鉱日石金属」の中核3社を設立。塗装工事のNIPPOや東邦チタニウムなどもグループ企業だ。新日鉱の「JOMO」ブランドを新日本の「ENEOS」に統一していく予定の国内石油販売では、約35%のシェアを占めることになる。ただし、10年10月には、満35歳以上の社員を対象に、1000人の早期退職を募集することを発表した。
一方、小売事業の再構築に向けて動き出そうとしているのがエクソンモービル。東燃ゼネラルを傘下に従え、日本での事業展開は1世紀以上になるだけに波紋が広がりそうだ。
石油業界はこれまでも合従連衡を繰り広げてきただけに、国内資本の出光興産を筆頭にその動向に注目が集まるのは必至。出光興産は三井化学と千葉地区のエチレン装置の運営を統合するなど親密関係にあり、JXHDは銅事業で三井金属と合弁展開。石油業界にとどまらず、化学や非鉄金属業界を含めた大型再編があっても不思議ではない。
一部には持ち直しの兆しが見えるものの、リーマンショックによる日米欧同時不況の影響や国内需要低迷の直撃を受けたのは、ガラスやゴム、製紙、セメントといった素材各社。多くの企業が平均給与のダウンを余儀なくされた。最大の要因は、製造現場の人件費に相当する労務費の減額。製造不況によるボーナスの大幅減、残業カットや休日出勤の取りやめなどの影響である。単体ベースの従業員を300人ほど増員したものの、労務費総額は対前年で32億円減額したブリヂストンをはじめ、王子製紙、太平洋セメントなど、各社とも労務費を軒並みカット。製造部門の復調が待たれるところだ。
※すべて雑誌掲載当時