平均年収で楽天がヤフーを再逆転!
ネット系は社歴が比較的浅い企業が多く、他業種と比べると平均年齢が若い。また、企業間の給与水準の差が大きい点も特徴といえる。医師向けの情報提供をネット上で行うエムスリーは、平均給与が52万円減と2009年に続きマイナス。業容拡大に対応した人員増に伴うもので、ネット系ベンチャーのうち唯一、800万円台を維持している。
価格比較サイトを運営するカカクコムは課金引き上げ、消費財強化戦略が功を奏し好業績にゆるぎがなく、給与も着実にアップ。ゲーム・情報配信のサミーネットワークスも順調に給与水準を引き上げている。
ネット系ベンチャー大手2社を見ると、ネット通販トップの楽天が127万円の大幅増。検索エンジン国内トップでオンライン広告を主力とするヤフーは18万円減で600万円台を割り込み、楽天が給与水準で再逆転を果たした。両社ともに事業拡大に拍車をかけており、楽天が中国インターネット検索最大手企業と組んでネット通販事業に乗り出し、ヤフーは米グーグルとインターネット検索・広告分野で提携。この提携に対し楽天が独占禁止法違反で公正取引委員会に提訴するなど、ライバル関係が一段と色濃くなっている。
現在(雑誌掲載当時)、テレビCMで攻勢をかける無料ゲームサイトを運営するグリーは業績好調で、平均年収620万円で登場してきた。今後、低年齢化する顧客を拡大できるかが課題だ。
同じく携帯向けゲーム「モバゲー」を手がけるDeNAは65万円増。携帯向け音楽配信のドワンゴは7万円増の小幅にとどまったが、3社の人材争奪戦が話題を集めている。
エンジニアとして入社する社員に対し、DeNA、グリーが200万円、ドワンゴが252万5000円(半額はエンジニアが指定する慈善団体等に寄付)を入社に際して一時金として支給するというもの。新サービスやコンテンツの開発が社運を左右するだけに、必要な人材はのどから手が出るほど欲しいわけだ。
国内最大のSNSを運営するミクシィは、46万円増で600万円台到達。しかし、ヤフーとDeNAが2010年10月からPCサイト向けゲーム配信で協業を開始したことで、今後の影響が懸念されている。
下げ幅の大きさで目立つのが、195万円減のインデックス・HD。M&A戦略が裏目に出たが、矢継ぎ早にリストラを実施。業績は上向いており、給与も上昇に転じるそうだ。USENはグループ全体で2000人強の人員削減を実施。業績の立て直しに専念している状況だ。
※すべて雑誌掲載当時