「横取り」されたと思い込んでいないか
一般の企業に当てはめても、不正一歩手前の競争こそが新たな価値を創造する、と考える人もいるでしょう。
企業文化をどうつくっていくのか。皆がルールを守って仲良く横並びになる文化では、できる人が抑えつけられ、飛び抜けた人材が出てこないというのも日本社会の停滞の原因とも言えます。大手銀行などはわざと変わった人を採用しているはずなのですが、企業の働き方に慣らされてしまうのか、経営陣は停滞しているように見えます。
最後に、別の視点で「横取り」について考えてみてください。どういうことかと言うと、そもそもあなたの手柄は、はたして「横取り」されたのか、ということです。
もしかしたら横取りされたというアイデアは、あなた独自のものではなく、相手が先んじて温めていたものかもしれない。案件を最後に横取りされたと思っているのも、相手のほうが着々と準備をしていて最後に結果を出したのに、勝手に「横取り」と思い込んでいる場合もままあるものです。
横取りされたと恨むのではなく、シンプルに自分の「実力不足」を省みて、相手の優秀さを認める機会にするべきなのかもしれません。
(構成=伊藤達也)