通訳ボランティアはどんな仕事をするのか

【三宅】新条さんの場合は日本人であり、英語が堪能だと。そこでどんな仕事をするかも決まるのですか。

三宅義和・イーオン社長

【新条】通訳ボランティアというのは、基本的に日本人の場合は、日本人選手の通訳を担当します。スポーツについては、どの競技を担当するかは各チームのマネージャーが選ぶようです。

例えば、私が「バレーボールを10年やっていました」という経験があれば、それはエントリーシートに書いておけるので、スカイプを使って2回から3回行われる面接で「あなた、担当したい競技はある?」と尋ねられたりします。

【三宅】新条さんはどのスポーツを担当されたのですか。

【新条】フィールドホッケーと7人制ラグビーなど5競技でした。「さくらジャパン」や「ジャパンセブンズ」というチームなどです。大会ボランティアは、基本的には競技場に配属されます。そこでの、会場内誘導・案内、選手の通訳、選手団サポートなどに当たります。

そのなかでもメインの仕事は、競技が終わったあとに、出場選手には30分間のインタビュータイムがあります。そこでリクエストがあれば、メディアから取材を受けるのですが、やりとりはすべて英語なので、そのときに通訳をするわけです。

またドーピング検査にも帯同します。上位3人と、ランダムに選ばれた人が受けることになっていました。質問用紙への記入と口頭での応答も英語なので、選手から希望があれば付き添います。

ですから、大会ボランティアに求められるのは、オリンピックで行われる競技に関する基本的な知識と、ボランティアの経験、そして英語やその他の言語のスキルだと思います。

【三宅】新条さんは、日本のアスリートたちの英語力をどう感じましたか。

【新条】私がサポートさせていただいたのは、比較的マイナーな競技でしたので、選手の皆さんからは、基本的に「通訳をお願いします」と言われました。その意味では、ゴルフやテニスのプロ選手が英語で話しているのとは違うかもしれません。

【三宅】これからは日本のアスリートが、海外で活躍するためにも英語は大事ですよね。

【新条】リオ五輪とは別の話ですが、ある選手が「海外に遠征した際、自分でインタビューを受けたい」と希望されて、私の知り合いの英会話教師がリオ大会の前に、個人レッスンを数カ月担当されたという方もいるそうです。若いアスリートには、自分の言葉で伝えたいという考えが強いのではないかと思います。