太陽の塔を「ともだちの塔」に変えたら
六本木ヒルズアリーナで行われた第1章の完成披露会見でお目見えした高さ9メートルの巨大ロボットはバルーンでできているのだが、そのコストはなんと4000万円もかかっている。大垣氏によるとこれはケンヂが対決する悪の親玉キャラなので、どうしても作りたかったという。だが、使い回しのないわずか1日だけのプロモーションのためにこれほどまでのコストをかけるこだわりはスゴイの一語につきる。
また映画にハクをつけ、外国人にも見てもらう仕掛けとしてルーヴル美術館「モナリザの間」で主演者である唐沢、常盤両氏の会見を行っている。なぜフランスか、なぜルーヴルかといえば、「特にフランスではオタク文化が盛んで、『20世紀少年』も非常にファンが多いということ。ルーヴルの学芸員も日本の漫画文化への理解が非常に高かったこと」を大垣氏は挙げている。
そしてなんといってもこの巨大で荒唐無稽な映画のプロモーションの象徴として特筆されるのが太陽の塔の前で行われたイベントである。大垣氏によれば、「ただ太陽の塔の前で何かイベントをするだけでは、普通の公園なので面白くない。これを本当に『ともだちの塔』に変えたら」と考え、権利をお持ちの岡本太郎氏のご遺族の方にお願いしたところ即答で「いいですよ」と言っていただいたそうである。これはほとんど建設工事で、足場を組み、約1週間の日数をかけてようやくあの不気味な「ともだちの塔」を完成させたのだ。だが華やかな花火のイベントも1日だけで、そのために8000万円のコストをかけたという。
荒唐無稽な遊び心と壮大な仕掛け。そしてそれを裏打ちする組織と資金。この映画の成功は、それらの重合によって大爆発し、天を突くように隆起した巨大火山に喩えることができよう。