昼間はパート、夜はママ友と飲み歩くのが“日課”

「大切に育てた娘が失踪するなんて……。あまりのショックで胃の痙攣を起こして苦しかったですし、円形脱毛症のような症状まで出るし、もうダメかとあきらめかけていました。もう死んでいるじゃないかと」(達也さん)

わらにもすがる思いで警察へ相談すると、幸いなことに警察はすぐ娘の居場所を突き止めてくれました。ところが、警察は娘の所在を教えてくれません。

「とりあえず安全なところにいるので」と冷たくあしらわれてしまったのです。どうやら娘が警察署員に対して「どこにいるのかをパパやママに教えないでほしい」と頼んだようなのです。なぜ、娘はそんなことを言ったのか。

家出をする半年前まで、娘は順風満帆な学校生活を送っていました。クラスではリーダー的存在で、学級委員も務めていました。正義感が強く、心優しい。夢は歌手になることで、部活には入らず、毎日のようにダンススクールに通いレッスンを重ねていたのです。

▼パート収入のほとんどは、夜の交際費に消えた
写真はイメージです

一方、家庭の状況はどうだったでしょうか?

娘と息子(弟)はもともと仲が良いのですが、性格は好対照。娘は長女らしくしっかり者。一方の息子は甘えん坊で、宿題をやらなかったり、部屋を片付けなかったり、嫌いな食べ物を残したりと問題点が少なくありませんでした。

本来であれば母親である妻がその面倒をみる立場ですが、昼間はパート、夜は地元のママ友や学生時代の友人とお酒を飲みに行くのが“日課”。パート収入のほとんどは、そうした夜の交際費に消えていました。

自分が悪者になりたくないからでしょうか。母親は息子の怠け癖を正そうとはせず、見て見ぬふり。そんな状況を見かねた娘が「なんで宿題をやらないの!」「部屋はきれいにしないと!」と弟をしかるようになり、いつの間にか母親代わりの存在になっていました。

ただ、息子は「姉からの説教」を快く思っておらず、娘も「弟にやさしくできないこと」を後ろめたく感じていたようです。第三者の私から見れば、「嫌われ役」を母親である妻が娘に押し付けること自体がおかしいのですが、妻は娘に「いつも任せっきりでごめんなさい」などとフォローすることは一切ないといいます。