働き盛りの女性 乳がん治療で収入に大きな影響

乳がんの罹患者が30歳代後半から増え始め、45~49歳でピークを迎えるという点も、就労に大きな影響を及ぼす要因となっている。

統計データなどから、女性は、がんになりやすい「がん年齢」が男性よりも早いことがわかっている。50代までは女性の方ががんに罹患する可能性が高いが、60代以降は男性の方が高いのだ。その年代の女性といえば、正社員にしろ、パート・アルバイトなどの非正規雇用にしろ、何らかの形で働いている人がほとんどだろう。

しかも、多くの乳がん患者が再発防止の補助療法として行うホルモン療法は、5年から10年と長期にわたる。その副作用は、ホットフラッシュやめまい、頭痛、イライラする、眠れない、やる気がでない、関節痛など、個々人によってさまざま。一見すると、元気そうに見えるので、このつらさを家族や職場、友人など周囲に理解してもらえず、それがストレスの一因にもなっている。

▼治療中の体調の悪さは筆舌に尽くしがたい

筆者自身も、乳房全摘後、ホルモン療法として、リュープリン(一般名:酢酸リュープロレリン)を2年間、ノルバデックス(一般名:タモキシフェン)を5年間服用する予定だった。しかし、後者の薬が合わず、顔面にひどい薬疹が出たため、主治医と相談の上、数カ月で中断。前者の皮下注射のみを2年間行ったが、家族には、「再発リスクを考えれば、副作用くらいガマンしろ」と散々責められたものだ。

言うまでもないが、がんの再発を最も恐れているのは患者自身である。

それでも、治療中の体調の悪さといったら……私の場合は、本当に筆舌に尽くしがたいものだった。何年もそれに苦しみながら、女性は仕事を続け、家事、育児、介護をこなさなければならない。この大変さが、おわかりいただけるだろうか? 治療が終了した後は、本当にうれしかったのを今もよく覚えている。