現在の高齢者のため将来に「ツケ回し」

日本は急速な高齢化を迎えており、2060年の高齢化率は40%に迫る。5人に2人が高齢者となる状況では、現状の構造は持続不可能だ。図1をみると、世帯主が70歳以上では平均で2389万円の貯蓄があることがわかる。世代的にみて、余裕があるのは高齢者だけだ。

「真面目に暮らしてきた高齢者は、現役時代に築き上げた財産や貯蓄があります。このため高齢者のほとんどは『持ち家』です。しかし若い世代ほど住宅取得が困難になっています。国の社会保障給付費は約110兆円。国庫負担分だけでも社会保障費は32兆円で、国の借金である国債費34兆円に匹敵します(図2)。現在の高齢者のために、将来の日本人へ『ツケ回し』をする構造です。その負担はこれから確実に増加します。日本社会は高度成長期の蓄えをほぼ使い切り、今後は貧しい国になる恐れが高いのです」(山本氏)

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