部屋は散らかっているほうがいい

子どもの脳を育てる、本当のかしこさを育てるなどと言うと、いろんなことをしてあげなきゃいけないと思うかもしれません。しかし、私が大事だと思うのは、むしろ「好奇心の邪魔をしないこと」です。子どもが何かを触りたい、何かで遊びたい、そういうときに「汚いからダメ」「危ないからダメ」と止めないでほしいのです。それはもちろん、命や健康に関わるようなことは止めなければなりませんが、子どものやりたいという気持ちはなるべく大事にしてあげてください。

「子どもの好きなようにやらせると部屋が散らかるし……」と思うかもしれませんが、実は、子どもの脳にとっては「部屋は散らかっているほうがいい」のです。アフォーダンスという概念があって、環境が人間の発達へ影響したり刺激を与えたりすることがわかっています。子どもも家の中や公園など、その環境を形成するさまざまな要素に影響されて、新しい動作や感情を発達させていきます。つまり、部屋の中のテーブルやいす、本棚、おもちゃ、いろんなものをたたいたり触ったり登ったりなめたりかじったり、そういう体験を増やすことで、子どもの脳はどんどん発達するのです。部屋にはいろんなものがあって、子どもが自由に触れる。そんな環境こそ、アフォーダンスな環境なんです。

子どもがおもちゃを投げた。椅子に登ろうとした。壁にかかっている絵をひっぱろうとする。クッキー缶のふたを開ける……親からすると「散らかさないでー!」と叫びたくなるかもしれませんが、そういうときこそ「脳が発達してる」「いま、ドーパミンが出てる!」と自分に言い聞かせてぐっと我慢してみましょう。

親は子どもの邪魔をしないで笑顔でいよう

そして最後に皆さんにお伝えしたいのが、「笑顔でいる」ということです。子どもは親が笑顔でいれば、それだけでたのしく、うれしいのです。本でも紹介していますが、脳科学の研究で、子どもは親の膝の上に座らせて遊んだり、勉強したりするとドーパミンが分泌されやすく、かしこさが育つという結果が出ています。お父さんお母さんのぬくもりの中、笑顔で見守られていると感じることは、子どもにとって何よりも幸せで安心なことです。安心で安全でなければ、脳は楽しさやうれしさを感じることはできません。

ですから、毎日の子育てでちょっと疲れているかもしれませんが、お父さんお母さんはなるべく笑顔でいてください。そして子どもがワクワクドキドキすることを邪魔しないで、楽しさやうれしさを毎日たくさん体験させてあげてください。そうすることで、あなたのお子さんの天才が目覚めるかもしれません。

【関連記事】
ノーベル賞学者「我慢強い子は高学歴・高所得者になる」
水泳で頭が良くなる?東大生の6割が小学生時代にスイミング
再登校!11歳の”哲学者”に母が贈った言葉
なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのか
ペラペラな親ほど早期英語教育に“冷淡”