「社説検証」なのに内容は自画自賛
毎日の社説検証は本文の真ん中当たりで「前川(喜平前事務次官)氏は25日、記者会見し文書が『確実に存在していた』と述べ、加計学園を前提に事業者選定が進められていたと主張した。また、国家戦略特区の規制緩和に関し『行政のあり方がゆがめられた』と語った」と経過を述べる。
その後に「ここで毎日(の社説)は『問題の局面は変わった』とし、『文書の存在がはっきりした以上、実際に《総理の意向》があったのか、内閣府側の《そんたく》だったのかが焦点になる』と指摘した」と書く。これも自画自賛ではないか。
「朝日は○、読売と産経は×」
その上で、「ところが、読売新聞の社説は異なった。文書の有無にはこだわらず、特区指定や規制改革の意義を強調する立場を取った」と読売を批判、さらには「産経新聞は、野党側が前川氏の国会招致を求め、政府側が前川氏を個人攻撃している点を取り上げ、『不毛な泥仕合』と評した」と産経も批判する。
簡単にいえば、毎日は「朝日は良くて読売と産経は駄目」と言いたいわけだ。これじゃ「朝日・毎日が革新で、読売・産経が保守」というスタンスを再掲するだけでこれまでと変わらない。社説の検証は是々非々で行うべきだ。
ただし、これまでこの沙鴎一歩が書いてきたように最近の読売や産経は安倍政権の御用新聞に陥っている。その点、朝日や毎日はしっかりした視点で報道してきたと思う。
最後に毎日の社説検証は「私たちが加計問題を重視するのは、『安倍1強』下で『政と官』のバランスが崩れているのではないかと危惧するためだ。もし行政の公正さが疑われるとしたら、積極的に情報を開示するのが民主的な政府のとるべき道だろう」と主張する。この主張はうなずける。
産経も毎日と同じ自画自賛
次に産経の社説検証を取り上げよう。テーマは都議選だ。
「政権への批判が結果につながったとの見方では6紙(朝日、毎日、読売、産経、東京新聞、日経新聞)とも一致するが、今後の政権運営への認識は大きく異なる。『自民党に対する厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければいけない』との首相の弁には各紙各様の反応がみられた」とこれまた、読者の興味をそそる書き方をする。
そして読むと、毎日と同じ自社の自画自賛である。
「産経は首相の反省を『当然』と受け止める一方で、『惨敗に至った原因や経過を正しく総括するのは重要だが、それは単に有権者の機嫌をとることではない』とクギを刺した。その上で『見失ってはならないものは何か』と問いかけ、『都議選を経て、2020年施行の憲法改正実現を目指す方針に揺らぎがあってはならない』と答えを提示した。『政権運営の拙さから支持を失えば、憲法改正の機運が衰える懸念は小さくない』として首相には、信頼回復に全力を尽くすよう迫った」。ざっとこんな具合である。産経の読者はこうした自画自賛にあきれないのか。