大統領選挙の前後1週間、私はソウル、釜山、大邱(テグ)、済州島と、韓国各地で各候補の選挙キャンペーンを追った。驚いたのは文在寅(ムンジェイン)氏に対する、若者の熱狂ぶりだ。行く先々であまりに大勢の若者が集まるので、まるでアイドルのコンサートかと勘違いするほどだった。若者は文氏に何を期待しているのか。それを理解するために、まずは韓国の若者がおかれている状況を整理しよう。
地獄の韓国社会=ヘル・コリアに生きる若者
「三放世代」という言葉をご存じだろうか。これは近年、韓国の若者が「恋愛・結婚・出産」の3つを諦めざるをえない世代であるとして、韓国国内で当然のように使われている言葉である。最近では「マイホーム・人間関係・夢・就職」の4つを足した「七放世代」という言葉まで使われ始めている。
漢江の奇跡と呼ばれた経済成長から一転、就職難に始まり、過酷な労働環境、低賃金など多くの要素が重なって生まれた、若者が生きづらい社会。この状況だけを聞けば、そのまま日本にも当てはまりそうな気もするが、決定的な違いはこの「三放意識」が若者間で徹底的に共有され、自らのおかれた環境を強く悲観しているところにある。
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