不労所得を得るシステムを現役時代に構築できるか
まずは、定期的に何らかの不労所得が得られるシステムをいかに現役時代のうちから構築するかが重要なポイントである。今、不労所得の筆頭として挙げられるのが、アパート・マンション経営などの「不動産収入」を得る方法だ。
しかし、いわゆる現物投資は空室リスクがあり、ある程度のノウハウも必要で、誰でも気軽に始められるものではない。そうした知識がないうちに大家さん業を始めたため、業者とのトラブルが年々増えているのはご存じの通りだ。
やはりお勧めは、一定のリスクはあるが、個人年金保険や投資信託など金融商品を利用する方法になるだろうか。
「毎月分配型ファンド」(以下、毎月分配型)であれば、分配金を毎月受け取れることができる。このタイプのファンドは、運用資産から得る配当や利子だけでは分配金を支払うのが難しいため、投資家から預かった資産を取り崩して分配しているものも少なくない。いわゆる「タコ足ファンド」とも呼ばれるゆえんだ。
分配金が毎月あるということは、その都度課税されるため手取りが少なくなるし、再投資ではなく分配金として支払われるので、長期運用の最大のメリットである複利効果を享受できない。
▼年金収入のみで生活する高齢家庭の「頼みの綱」は
このように毎月分配型ファンドについては、デメリットとなる点も多々あるが、実際には、生活費(老後資金)の補てんとして活用している高齢者も多い。
投資信託協会が、全国の20〜79歳の男女を対象に行った「投資信託に関するアンケート調査報告書(2016年)」によると、「毎月分配型」の保有は、高齢層ほど多く、60〜70代では半数以上保有しているという。
世帯年収別では、年収が高い世帯ほど「株式投信」保有率や「積⽴投資」利⽤率が高くなっている一方、「分配型投信」は年収100万〜500万円の世帯における保有が半数を超えて高い。
年金が主な収入源で、それほど年収が多くない高齢者世帯が、生活費の補てんのために毎月分配型を利用しているといったイメージだろうか。