「戻り率105%」は年換算だと0.1%
老後のお金を貯めることを目的とした商品に、「個人年金保険」があります。数十年間にわたって保険料を払って老後に年金を受け取る、貯蓄目的の生命保険です。
保険と名が付くと、「保険料を支払い続けなければ」という心理が働きやすく、銀行に預金するより続けやすいメリットがあります。
ただ、老後資金を貯めるのに有利かというと、決してそうとはいえません。
たとえば、40歳男性が60歳から10年間、毎月5万円ずつの年金が受け取れるプランに加入した場合、保険料の月額は2万3808円。総受取額600万円に対し、払込保険料総額は約571万円で、約29万円、受取額が多くなります。
最近は、保険会社が広告などに「戻り率」という指標を記載していますが、これは払込保険料総額に対していくら受け取れるかを示すものです。前述のケースの戻り率は105%で、一見なかなか良さそうだと思われるかもしれませんが、これは20年間、保険料を払い続けたら払込額の105%が戻る、という意味です。
おトク度を測るには年利回りを出す必要があります。前述のプランを換算するとわずか0.1%。0.1%が20年間固定されるので、金融商品として魅力はありません。
バブル期のように金利が高い時期の加入は有利でした。加入が1990年の場合と2015年の場合との違いは図のとおり。予定利率が高いほど保険料が安くなりますが、総額1200万円の年金を受け取るために支払う保険料の合計は、90年加入では約527万円なのに対し、15年加入では約1113万円です。