親に個人年金保険を勧められる人もいます。親世代が若い頃の個人年金保険は予定利率が高く、魅力がありました。しかし、今は状況がまったく異なるということを知っておいてください。
もうひとつ注意したいのは、中途解約すると、ほとんどの場合、解約返戻金が払込保険料総額を下回る、つまり元本割れするということです。教育費が想定以上にかかるなど、保険料の支払いが厳しくなることも考えられますが、解約すると損してしまうのです。
このようなことから考えると、個人年金保険に加入するインセンティブは認められず、預金のほうがいいといえるでしょう。
給与天引きで積み立てられる社内預金や財形貯蓄、銀行の積立預金を利用すれば、半ば強制的に、確実に貯めることができます。預金なら、家計の変化に応じて積立額を調整できるというメリットもあります。勤務先の社内預金、財形貯蓄には、利子補給や積立額の補助が付く例もあります。
積立預金の額がある程度まとまったり、金利が上昇してきた場合は、金利の高い商品に預け替えを検討します。現在、1年定期の金利は0.025%程度ですが、08年には、あるネット銀行の5年定期が1.3%台、個人向け国債(固定5年)が1.2%台など、「金利の小波」がきていました。
金利の小波に乗って預け替えを繰り返すことで、運用のコツをつかむことができ、定年後のまとまった資金の運用でも失敗を避けやすくなります。
深田晶恵
生活設計塾クルー取締役。ファイナンシャルプランナー。1967年生まれ。外資系電機メーカーを経て96年FPに。独立系FP会社取締役として主に個人向けコンサルティング・講演活動。著書に『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』ほか。
生活設計塾クルー取締役。ファイナンシャルプランナー。1967年生まれ。外資系電機メーカーを経て96年FPに。独立系FP会社取締役として主に個人向けコンサルティング・講演活動。著書に『「投資で失敗したくない」と思ったら、まず読む本』ほか。
(構成=高橋晴美)