まずは大戸屋。歴史は古くて1958年のオープンです。1992年、吉祥寺店が火事で焼け、建て直しのときにオシャレ路線を試したら、これがヒット。気づくとドリンクバーも完備し、都市型の駐車場のないファミレスみたいな存在になりました。現在は国内で350店(2017年4月)。2001年に東証ジャスダックに「大戸屋ホールディングス」として上場しており、立派な企業として成長しています。

ウリは自動かつお節削りマシン

2015年に創業家の三森久実会長が亡くなってからは、お家騒動が勃発。ちょっとイメージが悪くなっています。三森会長は以前、村上龍の経済番組「カンブリア宮殿」に出演し、「自動かつお節削りマシン」を各店に導入し、「削りたての鰹本枯節」を常に提供できると自慢していました。だから私がいつも頼むのは、「四元豚とたっぷり野菜の蒸し鍋定食」(税込み887円)で、ポン酢タレに、香りの良い鰹本枯節をまぶして食べます。この鰹本枯節が出なくなったら、三森路線が変更されたと理解しましょう。いつまでも残っていて欲しい、逸品です。

定食類は、800~900円台のメニューが中心です。最近は牛タン定食など1000円を越える商品も出して、プチレストラン化を進めています。 ごはんのおかわりはできませんが、あらかじめ大盛りを頼めば、無料で対応してくれます。そういう意味では、じゅうぶん腹一杯になります。

ただひとり客の場合、混んでいると、中央の大テーブル(一部店舗、六本木店はあり)に誘導されがちで、それが嫌という人もいます。なんかシェアハウスの夕食みたいで。しかも、恋も何も芽生えずって、当たり前だっちゅうの。この大テーブルがなかったら、ほんとレストランです。つまり大テーブルこそが、定食屋、大戸屋のアイデンティティーなんですね。