“大宏池会”と“大ユニクロ”の共通点
オヤジのファッションを語る上で、外せないのがユニクロです。最近は、若者向けでも『ほぼユニクロで男のオシャレはうまくいく』と謳う本も出ており、やはりユニクロはイケるんじゃないかと、再認識しております。捉え方としては、いろいろ他ブランドに浮気をしたけど、最終的には戻ってくるブランドじゃないでしょうか。特にベーシック部門において、ユニクロは外せないマストアイテムです。これをオヤジらしく政治の世界にたとえるなら、保守本流の宏池会(こうちかい)ではないか、そう思えてなりません。
宏池会とは、自民党の名門派閥のひとつで、池田勇人を祖に大平正芳、鈴木善幸、宮沢喜一など総理総裁を多数輩出しています。ところが現在、少数の派閥に分派中です。将来的には、ポスト安倍を睨んだ形での大宏池会構想(麻生氏、谷垣氏、岸田氏などの結集)が持ち上がっているとの報道もあります。
ユニクロを運営するファーストリテイリングも、廉価ブランドであるGUのほか、外国ブランドのセオリーやコントワー・デ・コトニエ、さらには「mina(ミーナ)」というショッピングモールを傘下にしており、「大ユニクロ」を構想中? と、似てなくもないのです。
バブル衣装はタンスのこやしに
「オヤジはお金がないから、ユニクロしか買えない」と思っているのかもしれませんが、本気を出せば、もっと衣服代に投資できます。何せ過去のファッション体験は、すさまじいものがありますから。オヤジ世代は80~90年代からDCブランドの洗礼を受け、丸井ヤング館詣では、毎度のこと。勢い余ってヨージ・ヤマモトやコム・デ・ギャルソンのカラス服にも進出しました。1着2~3万円のシャツとか、誰が買うんだと憤りつつも、実は欲しかったのです。似たような名前のコムサデモードで我慢したことも、しばしばありますけど。
そしてバブル全盛期、個人的経験ですが、海外有名ブランドを、清水の舞台から飛び降りる覚悟で買いました。シンガポールでベルサーチのスーツを30万円で購入。これでセレブ入りと思いましたが、冷静に考えると、フリーランスですから、スーツを着る機会なんて滅多にないのです。でも「一生もの」だからと、自分を無理やり納得させたはいいが、ウエストがぶくぶく太り、結局3回しか着ないで、タンスのこやしになりました。1回の着用が10万円かよ~、だったら貸し衣装で、いいじゃないですか。
そんなブランド洗礼を受けて、20~30代を過ごし、やがて結婚し、子育ても楽になり、ひと段落する時期が来ました。100%ピュアなオヤジになって、ユニクロを覗いてみたら、欲しいものだらけで驚きです。しかもベルサーチの100分の1の値段って、なんなの? バブル時代と比較すると、ファッション界は、デノミが起きているのかも知れません。
ユニクロを着ることに対して、追い風が吹いたのは、新垣結衣と佐々木希のCM出演です。これで若い女性からも、ユニクロはダサくないという、お墨付きをもらったようです。
特に貢献度が大きいのは、佐々木希のワイヤレスブラの宣伝です。CMでどっきり背中を見せられて、オヤジはメロメロになりました。六本木のミッドタウンのユニクロには、センターにど~んと佐々木希のブラ姿のポスターが貼ってあるし。案外、佐々木希を見たさに、オヤジが来たりして。そういう効果も期待できます。